公務員の病気休暇の過ごし方【うつ病になった消防士の体験談】

現役の消防士なんですが、うつ病と診断されました。

実際にうつ病で病気休暇を取られた消防士や公務員の方にお聞きしたいのですが、休み中にどんな過ごし方をされましたか?

主治医には「できるだけ好きな事をやって下さい」って言われましたが、たとえばリフレッシュするための旅行とかもOKなんですか?

回復すれば職場復帰したいのですが、職場復帰する時の注意点はありますか?

 

今回はこういった疑問にお答えします。

 

 この記事の想定読者

 

  • 現役消防士でうつ病の診断を受けて病気休暇を取得する予定だけど、休み中の過ごし方に悩んでいる人
  • 公務員の病気休暇中にどれくらいの範囲まで行動していいのか知りたい人
  • 病気休暇後に職場復帰する際の注意点を知りたい人

 

想定している読者は、上記のとおりです。

 

 この記事の信頼性

 

ボクは過去に現役公務員(消防士)として17年間働きました。

在職中に人間関係と業務多忙が理由で、うつ病(不安神経症・社交不安障害)の診断を受け、90日間病気休暇を取得した経験があります。

うまく職場復帰できたものの、公務員特有の「職場復帰のポイント」がありましたのでこの記事でシェアしたいと思います。

 

この記事では、実現役消防士時代にうつ病になったボクの体験談を交えて、公務員の病気休暇の過ごし方について解説します。

 

具体的には以下の感じで解説します。

 

公務員が「うつ」と診断されてから病気休暇を取得するまでの流れ

公務員が病気休暇を取得してストレスなく生活を送るための過ごし方

公務員が病気休暇中に「NGな過ごし方」をして処分された実例

公務員が病気休暇を消化して職場復帰する際の注意点

 

この記事を読めば、現役公務員の方が病気休暇を取得して、体調やメンタル面に負担をかけることなく安心して毎日を過ごせるようになります。

 

 先に結論

 

公務員の方が病気休暇を過ごす際のポイントは

 

病気休暇取得から職場復帰の流れをしっかり理解する

病気休暇取得中の基本的な過ごし方とNGな過ごし方を理解する

 

上記のとおりとなります。

 

あくまでも目標は職場復帰となりますが、場合によっては転職や、現在ボクがやっている在宅ワークも可能となります。

 

ただし、この記事を読んでくれているあなたは、今はかなりメンタル的に消耗しているはずです。なのでくれぐれも肩の力を抜いて、「こんな感じでやればいいんだな~」くらいの気持ちでリラックスして読んでくださいね。

 

それでは順番に解説していきますね。

 

目次

公務員が病気休暇を取得するまでの流れ【まずは自分と向き合う】

 

まず、公務員の方が実際に病気休暇を取得する場合は、以下の4つの段階があります。

 

  1. メンタルクリニックを受診する
  2. 主治医に診断書を書いてもらう
  3. 職場から担当の産業医が紹介される
  4. 産業医を介して診断書を職場へ提出する

 

ボクの場合、自分の精神状態がかなり不安になってから、病気休暇取の準備を始めましたので、通院や手続きで精神的に消耗してしまいました。下記で詳しく説明しますが、「普通では考えないことを考える」状態になれば、間違いなく精神的にダメージを受けていると考えてください。

 

これがすごく大切なことでして、「自分だけは大丈夫」とか「こんなことくらいで、へこたれてたまるもんか」なんてことを微塵も思わないでくださいね。少しでも異常を感じたのなら、自分自身と素直に向き合ってみてください。

 

公務員が病気休暇を取得する手順1:メンタルクリニックを受診する

 

実際にボクがうつを発症した時は、以下のようなことを考えたり、日頃は自分の身体に表れない症状が出ていました。

 

とにかく仕事を辞めたい

上司の顔を思い出すだけでお腹が痛くなる

職場が近づくだけで心臓がドキドキする

朝起きようとしても起きられない

風邪もひいていないのに熱っぽい

誰とも喋りたくないし一人でいたい

 

正直なところ、職場で「人間関係」や「職場環境」にストレスを感じていたしても、毎日が惰性で過ぎて行ってしまいます。「あ~職場に行きたくないな…また、嫌なことを言われるんだろうな…けどこんなことで誰にも相談できないしな…」というような葛藤を繰り返しながら、どんどん精神的に追い詰められていくんですね。

 

なので繰り返しになりますが、少しでも自分の身体や心に異常を感じたら、勇気を出してメンタルクリニック、もしくは心療内科に通院することをおすすめします。

 

メンタルクリニック・心療内科はどうやって選ぶの?

 

メンタルクリニックや心療内科って、正直なところ行きづらいし、幾分敷居が高い気がしますよね。実際にボク自身も、自分の身体に異常を感じながら、中々通院に踏み込めなかったのは、こういった「思い込み」によるものでした。

 

そもそも心療内科とかメンタルクリニックって初めて行くところだし、どんなところに行けばいいのか分からない、感じの悪い医師がいたらどうしよう…みたいなことをあれこれ考えていました。

 

たとえばこう考えて見てはどうでしょうか。命に関わるような大けがをして、救急車を呼んだ時に

 

やさしい先生のいるところにしてください

日本一の名医のいるところに運んでください

 

というようなことは言わないはずです。ですから、率直に言いますと、どこでも構いませんし、「とにかく早く受診する」ということです。仮に一度受診してみて、合わないな…と思ったら、他のメンタルクリニックや心療内科を検討すればいいわけです。

 

こればかりは、正直しょうがないと思います。なので始めは身構えずに、とにかく楽な気持ちで受診を考えてみてください。

 

受診する際に電話するのがちょっと…

 

自分が行こうと思うメンタルクリニックや心療内科を決めたものの、初めて電話する際は、やはりそれなりに勇気がいりますよね。ボクも実際に「こんなことで電話して、受付の人に変なふうに思われないだろうか…」とか「いい大人が恥ずかしいな」みたいなことを考えていました。

 

でも、自分自身が「こんなこと」 と思っていても、そもそもそれが、ささいななことなのか重大なことなのか、なんて分かりません。

 

だから遠慮なく電話してみたらいいと思います。ボクの場合、初めての電話で緊張して、うまくしゃべれなかったのですが、受付の方に本当に丁寧に対応してもらえて、胸をなでおろしたのを覚えています。

 

公務員が病気休暇を取得する手順2:主治医に診断書を書いてもらう

 

主治医には恥ずかしがらずに胸の内を話しましょう

 

これがすごく大切なのですが、メンタルクリニックを受診したら包み隠さず全てを主治医に話してください。自分を少しでも良く見せようとか、あまり情けないことは言えないな…ということは考えないでください。

 

メンタルクリニックの医師は、あなたがどうして精神的に追い込まれたのか、今どんな状態なのか、ということを詳しく知りたいと思っています。なぜなら、メンタルクリニックでは問診のみでの診断となり、外科や内科のように補聴器で呼吸音を確認したり、体温を計測したりはしないからなんです。

 

なので、あなたが今の状態になるまでの、経緯や状況を詳しく話せば話すほど、医師も診断しやすくなりますし、あなたに合った診療方針も決定されやすいと言えます。

 

ボクは初めての診察の時に

 

上司から長期間パワハラ・モラハラを受けたこと

職場の人間関係のこと

家庭環境のこと

とにかく職場には行きたくないこと

自分がこんな状態になるのが信じられないこと

 

色んな胸の内をすべて主治医に話しました。主治医もかなり親身になって聞いてくれましたし、ボクを否定するようなことは一切ありませんでした。

 

分かりました、〇〇さんは消防士という責任の重いお仕事をされているんですね。

職務上のストレスはもちろん、人間関係のストレスも加算される、とても過酷な職場環境だと思います。

そのような環境ではうまくストレスを解消すること自体がすごく難しいんです。

とにかく今は休みましょう。

自分が弱いとか、情けないとか、そんなこと思わなくてもいいんですよ。

ですから診断書を書きますね、これを職場に提出して下さい。

 

ボクの主治医は上記のような感じで、穏やかに説明してくれました。メンタルクリニックの医師は、たとえあなたが診察中に感情的になって言葉を詰まらせたり、うまく喋れなかったとしても、あなたをサポートしながら対応してくれますので、安心してくださいね。

 

主治医に診断書を書いてもらう際に…

 

ここからは少し事務的なお話になるのですが、診断書を書いてもらう際のポイントがあります。実は、ボクはこのポイントを理解しておらず、結果的には2回診断書を書いてもらう羽目になりましたので、余計な労力を使わないためにも、忘れずに医師に伝えてください。

 

 診断書を書いてもらう際のポイント:「療養期間」を明確に記載してもらう

 

診察の終盤に、主治医から診断書の話があります。下記は主治医から出された実際の診断書の画像です。

 

 

「平成〇〇年〇〇月〇〇日から当分の期間」

 

となっています。主治医曰く「完治する期間は現時点では分かりませんので、当分の期間と書かせてもらいますね。」とのことでした。

 

ボクには、医師に自分の胸の内をすべて話せた安堵感と、とにかく診断書をもらえばいいんだ、という思いしか頭の中にはなく、「はい、それでお願いします」と答えて、次の日職場に提出しました。

 

しかし、職場の総務から以下のような連絡を受けました。

 

完治する期間が分からない場合は、病気休暇の上限の90日間の期間を書いてもらってください。

具体的には「平成〇〇年〇〇月〇〇日 ~ 平成〇〇年〇〇月〇〇日までの間」という感じです。

 

それなら早く言ってくれよ…と絶望的な感じになりました。少し大げさかもしれませんが、この時期はとにかく「人と話したくない…」とか「職場への連絡とか無理…」とかそれくらいの精神状態ですので、できればこういった手続きは、ミスなく滞りなく進めて行きたいところです。

 

次の日早速メンタルクリニックを受診し、主治医に事情を話し再度診断書を出してもらいました。

 

それが下記画像の診断書です。

 

 

「平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日までの間」

 

となっていますね。診断書を出してもらう時は、くれぐれも「具体的な療養期間」を記載してもらうよう、主治医に伝えてください。

 

公務員が病気休暇を取得する手順3:担当の産業医が紹介される

 

産業医は、職場の健康診断や健康相談を実施している医師のことで、以下のとおり労働安全衛生法で定められています。

 

労働安全衛生法 第13条(産業医等)

1 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医 師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める 事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

2 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省 令で定める要件を備えた者でなければならない。

3 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労 働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。

4 事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

第13条の2

事業者は、前条第1項の事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うの に必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に労働者の健康管 理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。

参照:https://www.mhlw.go.jp/index.html

 

病気休暇を取得する時に初めて知るかもしれませが、あなたの職場にも必ずおられます。仕事で心身に異常をきたした場合は、この産業医を介して今後の対応を進めてもらうことができます。

 

〇〇さんですか?産業医の〇〇と申します。

今回、〇〇さんの職場から連絡を受けまして…体調を崩されたとのことですね。

今こうやってお話しても大丈夫ですか?辛かったら言ってくださいね。

今後の病気休暇中の過ごし方や、職場復帰に向けてのご説明をさせて頂きたいんです。

〇〇さんの気持ちが落ち着いたタイミングで窓口来て頂きたいので日程調整させてください。

ちなみに職場復帰されるまでは、私を介して回復状況を職場へ連絡させてもらいますので安心してくださいね。

 

上記の感じで、診断書を提出した2日後、女性の産業医から連絡がきました。

 

基本的に、「うつ」や「社交不安症」と診断された場合、病気休暇中の回復状況は産業医を介して職場への連絡をするような体制となっています。まずはあなたの職場を介して産業医から連絡が来ますので、それまで自宅でゆっくりしておきましょう。

 

公務員の病気休暇中の過ごし方【あせらず、あせらず…】

 

ここからは実際にボクが病気休暇中に感じたことや、心がけたこと、効果的だったことをご紹介したいと思います。

 

公務員の病気休暇中の過ごし方のポイント1:悲観的になった後は自分を認めよう!

 

 最初はどんどん悲観的になろう

 

最初は「なんでボクがこんな目に遭うのか…」とか「弱いな、ホントに…情けない…」とか「職場に迷惑かけるな…」とかとにかく負のオーラをたくさん出していました。

 

最初はそれでいいんです。ボクなんか最初の2カ月くらいは頭の中にこの負の感覚がずっと漂っていましたから。なぜなら、うつになるなんて、そもそも初めての経験ですし、最初から「大丈夫」なんて思えるわけがないからです。

 

心も「風邪」を引きますし、「うつ」「社交不安障害」なんて誰もがなる可能性が大いにあるということです。今回はたまたまあなたが患っただけなんですね。

 

 今度はどんどん自分を認めよう 

 

あなたはもしかしたら「自分が情けなくて、自分が嫌いで、隠れてしまいたい…」とか「こんな自分を受け入れたくない」と思っているかもしれませんね。

 

でも、実はあなたはもう自分を受け入れる最初のステップを踏んでいます。なぜなら、メンタルクリニックにも受診できたし、心がしんどいにも関わらず、病気休暇の手続きも立派にできたからです。

 

それだけでも充分あなたは最初の一歩目を踏み出しています。なので病気期間中はどんどん自分を認めてあげてください。

 

たとえば、「今日も自分の気持ちと向き合えて良かったな」とか「ちゃんと生きてるな…」とかなんでもいいんです。徐々にプラスの気持ちを持つようにしていければ、そのうち必ず楽になっていきます。

 

公務員の病気休暇中の過ごし方のポイント2:しんどけりゃとにかくボーっとする

 

最初ははっきり言って放心状態というか、無気力というか、そういう状態かもしれません。

 

主治医からは「とにかく好きな事をやりましょう」と言われましたが、ぶっちゃけ最初の1週間くらいは脱力感で一杯でした。部屋の片隅でボーっとしたり、食卓でうなだれたり、窓の外を見たり…

 

とにかく何もする気が起きなかったのですが、「これも自分の心のサインなんだろうな…」と思って過ごしていました。正直、人と接触したくありませんでしたし、人生初の引きこもりをしていたのもこの最初の1週間でした。

 

公務員の病気休暇中の過ごし方のポイント3:とにかく好きな事をする

 

無気力な期間が1週間も経てば、少しくらいは行動してみようという気持ちになれます。ネットサーフィンをしてもいいし、テレビを見てもいいです。近くのコンビニに好きなお菓子を買いに行ってもいいし、散歩をしてもいいです。

 

ボクの場合はとにかく自分の子供と触れ合いました。近くに川があったので、一緒に魚を取りに行ったり、虫を捕まえに行ったり。自分が一番リラックスできるのは子供と触れ合うことでしたので、毎日毎日近くの川に行っていたのを覚えています。

 

公務員の病気休暇中の過ごし方のポイント4:少しずつ生活リズムを整えていく

 

ボクの場合病気休暇を取得してから2カ月くらい経つと、症状が落ち着いてきました。

 

今まで不安定な精神状態よって、夜中に突然目が覚めたり、逆に昼間にすごい眠気に襲われてついつい夕方まで眠ってしまったりと、生活リズムもかなり乱れてしまっていたのですが、この時期から夜はわりと眠れるようになってきました。

 

この時期からそろそろ職場復帰のことを考えられるようになり、意識的に起床時間を6時と決めて生活を整え始めました。

 

この生活リズムを整える時期はもちろん個人差があります。決してあなたの負担となることのないように、「そろそろ普通の生活に戻すように意識してみるかな…」と思った時期でOKです。

 

もし、やってみてしんどくなったら時間を気にすることなく過ごすようにしてくださいね。

 

公務員の病気休暇の過ごし方のポイントその5:産業医との連絡をこまめに取る

 

病気休暇中は産業医から定期的に連絡がきます。

 

あなたの体調のこと

うつの回復状況

職場復帰に向けての復職プログラムのこと

 

概ね上記のような連絡が月に2回くらいありますので、かならずあなたの体調のことやうつの回復状況を伝えましょう。

 

ボクの場合は、病気休暇を取得して3カ月目に入ったころ、面談がありました。職場ではなく、わざわざ自宅の近くまで来ていただき、喫茶店で職場復帰に向けての話や、職場復帰の際に受ける「復職プログラム」のことについて説明して頂きました。

 

病気休暇後の職場復帰の流れについては後ほど解説しますが、各自治体ともに、厚生労働省が定める「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支 援の手引き」に基づいて実施されます。

 

公務員の病気休暇中にしてはいけないNGな過ごし方【処分事例】

 

公務員の病気休暇中の過ごし方でNGな事例と処分内容をご紹介します。

 

公務員の病気休暇中のNGな過ごし方:海外旅行

 

精神疾患で病気休暇を取得されてた事務員の方の事例です。

 

海外で病気の療養をするために届け出たものの、認められかったために、無許可で旅行に出かけて処分されたようです。

 

2014.9.6 iza 産経デジタル

病気休暇中に無許可で海外旅行に出かけたとして、神戸市教委は5日、同市長田区の市立小学校に勤務する女性事務職員(52)を停職3カ月の懲戒処分としたと発表した。

処分は同日付。

市教委によると、職員は今年4~6月、精神疾患を理由に病気休暇を取得。

5月上旬にアゼルバイジャンやグルジアなど「カフカス地方」の3カ国への海外旅行を届け出たが、校長や市教委に認められなかったため、同月16~25日に無許可で旅行に出かけたという。

職員は帰国後、校長に対し、「海外旅行には行っていない」と虚偽の報告をしていたが、その後の市教委の聞き取り調査では海外旅行に出かけたことを認めた。

女性職員は「転地療養のためだった。病気を治すには海外旅行が一番良いと考えた」などと説明したという。

「転地療養のため」病気休暇中に無許可で海外旅行 神戸市職員を処分

 

公務員の病気休暇中のNGな過ごし方:パチンコ

 

ノロウイルスによる胃腸炎や腰のねんざによって病気休暇を取得されてた職員の事例です。

 

パチンコ店にいたところ、職場の上司に見つかって発覚したようです。

 

2014.9.1 キャリコネニュース

大阪府松原市は8月29日、ノロウイルスによる胃腸炎や腰のねんざなどを理由とした病気休暇中にパチンコ店に通っていた53歳の男性主任を、停職2か月の懲戒処分としたと発表した。

民間企業の場合、有給休暇の利用目的は問われないため、病気療養をしつつ体調を見ながらパチンコ店に通うことも事実上可能だ。

それではなぜ公務員の場合は、このような厳しい処分になってしまうのだろうか。

公務員の「病気休暇」は有給で療養専念義務あり

「病気をおしてパチンコ行くのは本人の勝手じゃねえの?」

ネットにはそんな声もあるが、それが許されない理由は公務員における「病気休暇」の位置づけにあるようだ。

大阪府のウェブサイトなどによると、地方自治体の公務員は通常の有給休暇のほか、特別休暇として「病気休暇」の取得が可能だという。

制度の詳細は各自治体の条例で定められるが、連続して90日以内であれば有給とされる場合が一般的のようだ。

ただし病気休暇を取得できるのは、「勤務することが不可能又は困難な程度の負傷又は疾病」とされているため、病気休暇中には療養専念義務が生じる。

したがって、パチンコ店に通った場合には療養専念義務違反となり、病気休暇の不正取得ということになる。

なお報道によると、男性主任は2月と3月の休暇中に堺市内のパチンコ店で遊んでいたのを同僚の男性職員が目撃、上司に報告したが、詳しい日時が特定できなかったので上司は注意しなかった。

しかし再び休暇を取得した7月4日の午後11時半過ぎに、上司が同じパチンコ店にいた主任を発見。主任は「2、3月に行ったのは覚えていない」と話しているという。

上司は「怪しい」と感づいて待ち伏せしていたと見られるが、3月の時点で事情を聞いていれば、ここまでの騒ぎにならなかったのでは。

なお、前出の大阪府のウェブサイトには、「最近、一部の団体において病気休暇の取得に著しく適正を欠く事例が指摘されています」と記されており、

「病気休暇は厳格な事実確認に基づいて運用することを第一に、制度趣旨に則った適正な運用を改めて徹底すべきと思われます」

と各自治体に呼びかけている。

松原市の対応および処分はこれに沿ったものだが、もしかすると今回の件は、大阪府内では「氷山の一角」のできごとなのかもしれない。

「病気休暇中」にパチンコ行ったら 「停職2か月」の懲戒処分になったワケ

 

上記2つの事例はかなり極端だと思います。本当に精神的なダメージを受けていたら、ここまで活動的に生活できないだろうな…と思ってしまいます。

 

病気休暇中に特に外出の制限はありませんが、常識を超えない範囲で過ごす、ということに気を付けておけば問題ありません。

 

公務員が病気休暇を消化して職場復帰するまでの流れ

 

病気休暇から職場復帰するまでの流れは、厚生労働省が定める「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支 援の手引き」を是非参考にしてください。

 

ちなみにボクが実際に職場復帰した際の手順は以下のとおりでした。

 

  1. 産業医に職場復帰の意思を伝える
  2. どの部署で職場復帰をしたいかの調整をする
  3. 産業医とともにメンタルクリニックを受診する
  4. 指定された部署での職場復帰

 

順番に解説していきますね。

 

1.産業医に職場復帰の意思を伝える

 

病気休暇の3カ月目に入ると、産業医から職場復帰をする意思があるかどうかの連絡が入ります。精神的にも安定してきて働く意欲が出てきた場合は、職場復帰の意思を伝えればいいと思います。

 

ただし、もし「まだ、しんどいな…」というような気持ちであれば、遠慮なくその思いを伝えればOKです。その場合は「休職」の手続きに移りますので、産業医の支持に従ってください。

 

2.どの部署で職場復帰をしたいかの調整をする

 

上司からのパワハラや、人間関係のもつれなどで精神的にダメージを受けて、うつ病を発症した場合は概ね違う環境での復帰を薦められます。

 

ボクの場合も上記の理由で社交不安障害を発症しましたので、産業医からも別の部署での職場復帰を提案されました。

 

産業医が職場復帰したい部署の希望を聞く

職場の総務がその部署での職場復帰を容認する

 

上記の流れでボクの職場復帰先が決まりました。それまで僕は通信指令センターでの勤務でしたが、職場復帰は某消防署での勤務となりました。

 

3.産業医と所属長ともにメンタルクリニックを受診する

 

職場復帰が決まれば、産業医と所属長同伴で、主治医のもとに向かいます。ボクは駅前のメンタルクリニックに通院していましたので、受診時間の少し前に待ち合わせをして、診察に向かいました。

 

この日にすることは

 

主治医から職場復帰のGOサインをもらう

職場復帰するための診断書をかいてもらう

 

です。

 

主治医から職場復帰のGOサインをもらう

 

主治医に最終の診断をしてもらいます。診察室には産業医と所属長も入って来ました。主治医からは、職場復帰する際の注意点や、復職プログラムに基づいて徐々に身体を馴らしていくようにとのアドバイスを受けました。

 

またボクは「レクサプロ」という内服薬を処方されておりまして、しばらくは服用しながら勤務することを条件に職場復帰の許可が出されました。

 

職場復帰するための診断書を書いてもらう

 

職場復帰するための診断書に書いてもらう内容は以下のとおりです。

 

症状が回復したこと

職場復帰が可能であること

職場復帰する日

 

実際には診察室で、主治医と産業医、所属長とともに上記の内容を確認しながら診断書を書いてもらうことになります。

 

以下の画像はこの時に出された診断書です。

 

 

4.指定された部署での職場復帰

 

ボクの場合は某消防署での職場復帰となりました。当初は消防本部付けでの日勤勤務を打診されましたが、

 

結局は慣れない場所での職場復帰となり、さらなるストレスがかかる可能性があること

本人が本部付けでの職場復帰を希望していないこと

 

産業医が上記の判断をし、某消防署の日勤勤務でのスタートとなりました。このあたりは、職場や復職プログラムによって異なりますし、産業医と所属の判断によっても若干異なってきます。

 

現役公務員のあなたが、もし病気休暇後に職場復帰しても辛かったのなら…

 

職場復帰先の環境はやっぱり大切

 

ボクの場合、職場復帰してから1カ月後、体調が概ね回復してそのタイミングで24時間勤務に戻ることができました。職場復帰する際には、やっぱり自分の気持ちと向き合うことが一番重要なのかなと思います。

 

やっぱり人間関係が気になるな…

また同じようなトラブルが起こったらイヤだな…

なんかうつ病で休んでいたなんて格好悪いな…

 

ボクが職場復帰してからの本心は上記のような感じでした。しょうがないです、そう思うのですから、それを受け入ればいいと思いますし、実際ボクもその気持ちを否定しませんでした。

 

それで幸運にもボクが復帰したチームには、たくさんの温かい仲間がいてくれました。

 

大変だったな!頑張りすぎるなよ!

ちょっと最初から飛ばしすぎじゃないか?ぼちぼち行けよ!

 

なんて先輩や上司に毎日声をかけられて、若干空回りするボクをサポートしてくれていました。そんな環境だったからこそ「職場復帰」という1つの節目をうまく乗り越えられたんだな…と思っています。

 

ただし職場復帰がうまくいかない時もあります…

 

ボクの場合は、良い職場環境で職場復帰できたのがうまくいった要因だと思います。ただし、もちろんうまくいかない場合もあります。そんな時は、再び休むことも可能ですし、また別の道を探すこともできます。

 

消防というのは、「人間関係」「仕事」「現場」の3つのストレスが同時にかかる過酷な仕事です。

 

現役の消防職員の中でも、このようなストレスに耐えられなかったり、そもそも組織に属しながら仕事するのが苦手な人って結構多いのものです。

 

実際にボク以外でも、心身が耗弱して病気休暇を取得されていた職員がホントに多くいました。消防特有の職場環境が、一人一人の職員に大きな負荷をかけてしまうというのが現実です。

 

令和に入っても全国各地の消防本部でパワハラが途絶えないのは、やっぱり消防特有の「人間関係の歪」が原因でして、今後はこれをうまく解決していかなけらばなりませんね。

 

今後の消防組織の「クリーン化」に期待したいところです。

 

職場復帰してもやっぱり無理なら、在宅ワークにチャレンジすることも可能!

 

ボクの場合、現在は消防職員を退職しておりまして、在宅ワークで生計を立てています。当然ですが、人間関係のストレスはゼロです。

 

ボクはもともと一生消防士をするつもりはありませんでしたので、いつかのタイミングで早期退職をしようと決めていました。この病気休暇から職場復帰して、5年後に早期退職しています。

 

実は、職場復帰をしてから、自分でスキルアップしていくことの重要性に気が付き、在宅ワークするための足場づくりを進めていました。具体的には【朗報】消防士は非番の過ごし方で人生変えられます【10年先の自分へ投資しよう】で紹介させて頂いています。

 

現在は在宅でWEB関係の仕事をしつつ、自身のアフィリエイトサイトや株式投資で生計を立てています。ボクにはこの生活スタイルがピッタリでして、結論的には消防を早期退職できて良かったかなと思っています。組織に属して仕事をしているよりすごくやりがいを感じますし、何よりも人生が豊かになりました。

 

もちろん朝から晩までPCとにらめっこしている時もありますが、頑張れば頑張った分だけ自分に返ってきますし、好きな時に休めるし、家族と触れ合える時間も増えました。

 

どうしても組織に馴染めなかったり、精神的に厳しい状態なら、何も消防という世界にとらわれる必要もないかな、と思います。世界は広いですし、また新たな目標を持って方向転換することは、あなたの人生にとって必ずプラスになるはずです。

 

自分の可能性を信じてまた別の道へチャレンジすることは、とても意義のあることだと思いますよ。

 

この記事が、少しでもあなたの人生の役に立てば、と思います。

 

今回は以上となります。