消防士の本音は「ガチでツイートできない…」ですが、Twitterを見てわりと参考にできる件

現役の消防士なんですが、Twitterで現場の本音をツイートしたいんです。

 

今回はこういった疑問にお答えします。

 

 この記事の想定読者

 

Twitterを利用している現役消防士の方 or 日本の消防組織の内情に詳しい方

 

想定している読者は、上記のとおりです。

 

 この記事の信頼性

 

ボクは過去に現役公務員(消防士)として17年間働きました。

退職した現在もTwitterを利用しおりまして、「消防」や「公務員」について情報発信しています。

 

この記事では、「現役消防士はガチでツイートできないけど、Twitterは消防組織を変えていくきっかけとなる」ということについて解説します。

 

現職だからホントのこと言えないんだよな…

結構核心を突いた意見があってドキッとすることもあるし、たしかに参考になることもあるしな…みたいな。

 

なおこのブログでは到底お話できないような田舎の消防士の裏事情については以下のnoteで公開しております。

 

ブラック過ぎてネットには上がってこない情報が盛り込まれていますので気になる方は覗いてみてください。

\田舎消防の裏事情はこちらから/

※noteに無料登録すれば未公開部分が読めます。

 

 先に結論

 

Twitterの情報を現役消防士がコツコツと現場にフィードバックしていく

 

です。

 

では始めます。

 

消防士の本音①:ガチでツイートできない…

 

消防士の本音をツイートすると処分?

 

まずは、勤務中にTwitterをしていて処分された実例をご覧ください。

 

2019.4.25 産経新聞

「適切な救急伝えたかった…」 職務中にツイート、消防士を減給処分 仙台市消防局

勤務時間中にスマートフォンからツイッターへ投稿したとして、仙台市消防局は25日、職務専念義務違反で宮城野消防署の30代男性消防士長を同日付で減給10分の1(1カ月)の懲戒処分としたと発表した。

同局によると平成29年~31年2月、署内の事務室から救急業務や応急手当てについてのツイートを2681件投稿した。

守秘義務に違反する内容はなかったという。

同月、匿名で同局に指摘があり発覚した。

消防士長は「心肺蘇生(そせい)法の開始は人の判断。心肺蘇生法の対象はもれなくAEDの適用。電気ショックはAEDが勝手に判断。ちょっとややこしいですな」などと投稿。

「ネットの掲示板で間違ったことが投稿されており、適正な方法を伝えたかった」と話しているという。

同局は処分理由について、「一部投稿には私見も含まれ、私用だったと判断した」と説明した。

参照:「適切な救急伝えたかった…」 職務中にツイート、消防士を減給処分 仙台市消防局

 

署内の事務室から救急業務や応急手当てについてのツイートを2681件投稿されていたとのことですね。

 

仙台市消防局と言えば、政令指定都市の大規模な消防本部。それなりに救急出動件数も多く、かなり忙しいんじゃないかな…って個人的には思うんですが、業務の合間を見つけてはツイートされていたようです。

 

この消防士長の本音ツイートの処分に対する反響

 

このニュースについてTwitter内で検索してみると下記のような意見がたくさん出てきました。

 

 

 

 

 

一般の方々は圧倒的にこの消防士長の処分に疑問を感じていますね。ボクはこの方とTwitter内で情報交換したことがなかったので、どんなアカウントを運用されていたのかは分かりませんが、以下のツイートを見ると「消防属性」では、わりと影響力のあるアカウントだったようです。

 

 

 

こういったツイートが実はいくつもあって、実際はいわゆる「アンチ」と言われる方々に付け込まれて発覚したようです。結局、上記のようにトラブルに巻き込まれる可能性もあって、現役の消防職員が熱くなって正論を振りかざしてもやっぱりリスクがあります。

 

消防士の本音②:そんなことは百も承知…

 

消防士の本音を代弁するツイート?

 

Twitter内の一般に方々のツイートって、わりと核心をついているところがあって、あながち「なるほどな…」なんて思うことがありますよね。たとえば、下記のようなツイートです。

 

消防活動はもっとこうあるべきでしょ?

現職の消防隊員はこんなことも知らないのかい?

日本の消防は技術的にかなり遅れをとっていることに早く気付けよ

救助指導会なんてしょせん運動会だから辞めりゃいいんだよ

某消防本部の現場活動はお粗末過ぎねえか?

 

こんなツイートは山ほどあって、中にはバズっているやつもありますよね。

 

消防士の本音は「そんなこと百も承知…」です

 

ただし、現役消防士が上記のようなツイートを見てどう思うのかと言うと、おそらく「そんなこと百も承知です」のような感覚だと思います。なぜなら17年間2つの消防組織で働いてきたボクが実際にそう思うからです。

 

こんなことを書くと批判があるかもしれませんが、Twitter内で身分を明かさずに消防組織の批判をすることは、単なるエゴに過ぎないのではないかと思うからです。本当に日本の消防組織を変えようという思いがあるのなら、きちんとしたやり方があります。

 

ただし、Twitterを利用して意見することを批判しているわけではありません。Twitterは個人が社会に情報を発信できるツールですし、実際にTwitterがきっかけで社会が動くこともあります。でも、やり方があるでしょ?っ話です。くれぐれもこのあたりはご理解していただきたいと思います。

 

近年日本の消防組織では、全国的に不祥事が後を絶ちません。今すぐにでも組織の改革が必要で、このことは真摯に受け止めるべきです。しかし、なぜここまで不祥事が起こってもそれほど組織が良くならないのか?

 

このあたりは実は実際に消防組織に属さないと分からないことなんです。現役の消防職員が軽々しくTwitterの中で公言できる内容ではありません。ただ、1つ言えるのは、「日本の消防組織=公務員」であることです。

 

この意味が分かりますか?消防組織に政治が絡むってことです。ご察しのとおり、いわゆる「先生方」が影響力を持っています。たとえば「市民目線」なんてのは実は「議員目線」のことなんです。

 

ボクが現職の時、某地方消防は当時の組織の方針により、消防予算が大幅に縮小されました。

 

執務服(作業服)は3年に1回しか貸与されない

再任用の影響で現職の給料はカットされる

消防車が故障しても修理できずに半年間も放置される

 

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出初式なんか酷いもんでして、ツギハギだらけの服装で行進するわけです。職員の被服や消防車も買えない貧しい組織なのに「先生」の一声で

 

だれも要望していないドローンが配備される

救助指導会は良いアピールになるって理由で続行

音楽隊は当消防本部の広告塔だから続行する価値が有る…

 

みたいな感じです。これがまぎれもない現実で消防組織の「闇」の根幹となる部分です。

 

消防士の本音は「組織の闇とどう共存するか」なんです

 

結局のところ、現役消防士はこの「闇」と共存するしかないんです。所詮、地方公務員がこの「闇」と戦っても到底太刀打ちできませんし、むしろ職を失うこともあるんじゃないかなって個人的には思うわけです。

 

そういう「闇」を目の当たりにして、一気に仕事のモチベーションを下げてしまっている職員や、単純に消防組織の本質を分かっていない職員も中にはいます。消防組織の「闇」に幻滅してしまって、Twitter内で批判的なツイートをしてしまっているのかな…って。

 

ただ、すべてがそういう消防職員ばかりではありません。むしろそういう方は一部なんじゃないかなって思います。

 

本当に組織を変えようとしている人はボクが現職の時にもいました。そういう方はおそらくTwitterの「消防アカウント」には登場しません。もっと現実的な方法で組織の改革を進められているからです。

 

消防士の本音③:地方消防のジレンマ

 

地方の消防士の本音は「こんなのプロじゃない…」です

 

前段でお話ししました、公務員の「闇」に打ち砕かれてしまった消防職員の頭の概ね以下のような感じです。

 

こんなレベルで消防士してるなんて市民に申し訳ない…けど訓練と現場活動してりゃいいって仕事ではないんですよ、ボクたち地方の消防は…

不毛な事務処理は大量、議会対応もしなけりゃいけない、予算の管理、立入検査や自治会対応もある…。

正直24時間じゃ足りないし、現場出動なんて片手間なんですよ…地方の消防ってしょせんこんなものですよね…。

 

こんな組織の状況で、果たしてプロを名乗っていいのか?っていうジレンマに打ちのめされたわけです。こういう職員を生み出しやすい地方消防の組織体制に問題があると言わざるを得ないんです。

 

地方の消防士の本音は「消防士=公務員って、もはや限界じゃね?」です

 

ボクが東京消防庁から某地方消防に転職して感じたのは、語弊を恐れずに言いますと、消防士としてプロ意識やモチベーションを維持しやすいのは、やはり東京消防庁ってことです。

 

もちろん東京消防庁の隊員もれっきとした東京都職員でして、地方消防の隊員もその都市の「地方公務員」です。ただ、あまりにも組織体制が違いすぎるんですね。隊員数も車両数も資器材の充実度も給料体系も仕事内容も福利厚生も…何もかもが違いすぎます。

 

東京消防庁 = 大企業

地方消防 = 小さな田舎街の零細企業

 

といえば分かりやすいと思いますが、これくらいの差は軽くあります。

 

さらに地方消防の世界の現実は

 

ありとあらゆる事務処理を自分たちで完結しつつ、たまにある火災は非番招集は当然、古い資器材で奮闘、個人装備はほぼ自腹…消防長や取り巻きの幹部たちは「先生方」のイエスマン…

 

そんな状況でプロとしてモチベーションを維持していくのには誰だって限界があります。

 

消防士の本音④:Twitterの意見をフィードバックしたい

 

現役の消防職員はTwitterで本音を言わない

 

現役消防職員はTwitter内の「核心を突いたツイート」に対して、「ホントはもっとその話題に絡みたいけど、身バレで処分されるとアウトだから、静観しておこう」という感じです。なので現職が身分を明かして、消防組織の本質を議論することなんてしません。

 

もしそこに熱くなって議論してしまうと、前半で解説しました仙台市消防局の事案にように、身バレから処分されるのが結末です。

 

消防職員がすべてTwitterや他のSNSをしているかというとそうではありません。Twitterを利用していたとしても「消防属性」ではないアカウントを利用されているのではないでしょうか?ただし、中には現職であってもツイートされている方も結構おられますね。ツイート内容を見れば、現職か現職でないかは概ね分かります。

 

現役消防士は、Twitterの意見をどんどん吸収しよう

 

Twitter上の意見を、現職がうまく職場に持ち込んでフィードバックするような「草の根活動」を続ければ、きっと日本の消防組織は変わっていくと思います。実際に消防組織の外部からの意見は貴重で参考になることが多いです。

 

なんだこんなの組織批判じゃねえか

そんな軽々しくものを言うなよ

現場の動画撮るなんてどうかしてるぜ

 

ではなく

 

消防組織を変える貴重な意見だな

一般の方は色んな意見を持っているから参考になるな

SNSで上がった動画はリアルだから、自体の現場活動にフィードバックできるかな

 

って思うほうが建設的ですし、Twitterの中には、日本の消防組織を変える可能性のある材料がゴロゴロしています。(もちろん情報のトリアージは必要ですよ)

 

まとめ:現役消防職員はTwitter内の情報をどんどん取り入れるべき!

 

今回の記事は「Twitterでガチのツイートをしたい現役の消防士の方」に向けて書きました。

 

現役の消防職員の方が、やるべきことは「Twitterの情報を現場にフィードバックしていく」です。どのようにしてTwitter内の貴重な意見を、自分の組織にフィードバックしていくかを本気で考えるべきです。

 

Twitterの情報をうまくトリアージしつつ、組織内に吸い上げていけば、きっと日本の消防組織は変わっていくと思います。個人的には、意見発表会のネタとして発表するのもありじゃないかなって思います。

 

現職の方、ツイッタラーの皆様、「日本の消防を発展させるツイート」をうまくフィードバックしていく何かいい方法はありませんか?是非コメントお待ちしています。

 

今回は以上となります。