【元消防士の経験談】田舎の消防署の人間関係がぶっちゃけメンドイ!【改善策有り】

田舎の消防士なんですけど、人間関係がドロドロしていて…消防ってどこもこんな感じなんですか?

 

今回はこういった悩みにお答えします。

 

 この記事の想定読者

 

田舎の消防で人間関係に消耗している若手隊員

 

想定している読者は、上記のとおりです。

 

 この記事の信頼性

 

ボクは、東京消防庁で3年、田舎消防で14年働きました。

田舎消防の14年間ではドロドロした人間関係に随分と消耗させられました。

 

この記事では、 田舎の消防署の人間関係が面倒な理由について解説します。

 

ちなみにこの記事の内容は、ボク自身が「某田舎消防で勤務した14年間」にフォーカスした経験論でして、あくまでもすべての消防組織がそうではない、ということを先にお断りさせていただきます。

 

 先に結論

 

田舎消防の人間関係は残念ながらドロドロしていますし、職場環境も極悪です。しかし、改善案があります!

 

では始めますね。

 

田舎消防の人間関係ぶっちゃけメンドイです

 

田舎消防の人間関係はいわば【小姑】の集団とも言える

 

消防士って決してアッサリ、サバサバ、なんてしていませんよね。まあ、一般の方がそういうイメージを持っているのはメディアによる影響だと思いますが、実際はジメジメした人間が多いです。というか、ジメジメした人間になっていくんです、残念ながら。

 

 

 

なぜそんなジメジメした人間の集団になるのか?

 

ご存知の通り、消防士が働く場所は火災現場や災害現場。ここでは、常に自分の身が危険にさらされているような非日常空間。

 

当然、ホース延長が雑だとキンクができて水が通らなかったり、連成計の細かな動きを見ておかないと、放水圧力が高圧になりすぎて放水隊員がぶっ飛ばされたり、ロープの結着の半結びが甘かったり、カラビナの安全環を閉め忘れたり…ほんのちょっとしたミスが大事故となりますから、ホントに細かいところにまで目を光らせるようになります。

 

いや、むしろそうでないと困るわけです。なぜなら当然、要救助者の命がかかっているからです。(もちろん自分の命も他の隊員の命もですよ。)

 

けど、この極限まで研ぎ澄まされた繊細さが、残念ながらそのまま消防署生活にまでシフトされるんです。人間そんなに起用ではないですからね。

 

たとえば、「食堂の布巾の濡らし方が甘いぞ!」とか「風呂の湯の量が多すぎないか?」とか「仮眠室の布団がシワクシャじゃねえか!」とか…

 

これ、ボクが若手の頃に実際に救助隊の先輩に言われていたことですが、まあ、みんなこんな感じです。

 

分かるんですよ、言わんとしていることは…そこまで気を利かさないと現場でもできないぞ、みたいなね。

 

もちろん、消防署生活での細かな気配りが現場に生きて来ることは往々にしてあります。しかし、まあ細かい、どうでもいいことに。

 

ここに消防独特の「小姑感」が生まれるわけです。

 

田舎消防の人間関係は昭和染みた「馴れ合い」

 

田舎消防の人間関係って良くも悪くも昔からの風土や風習を踏襲してしまうので、いつまで経っても昭和染みた人間関係のままです。

 

これはボクが東京消防庁から田舎消防へ転職したときに驚いたことなのですが、某田舎消防ではなんと「あだ名」で呼び合うんですよ。しかも現場でも、対外的な訓練でも。

 

東京消防庁では当たり前のように、「大隊長!」とか「小隊長!」とか「〇〇主任」って呼んでいましたので、相当なカルチャーショックでした。

 

いつの時代なんだよ…って感じです。「馴れ合い」ってやつです。仲良しこよしの集団みたいな感じですね。(決して仲良くはありませんがね。)

 

かろうじて救助隊が面目を保つために、現場のみ違和感アリアリで階級で呼び合っていましたが、まあ逆に身震いしてました。常日頃あだ名で呼び合っているのに現場でイイカッコしたいのかよ…って。

 

まあ、市民からしたらあまり印象は良くないですよね、あだ名って…今は変わったのかな…

 

田舎消防の人間関係がなぜ良くならないのか

 

田舎消防の人間関係は階級と在職年数と年齢の三つ巴

 

 

上記のツイートが消防の人間関係がメンドイことになってる要因です。ぶっちゃけこれがすべてですね。

 

消防の世界って当然のことながら、普通の職場ではないわけです。そもそも階級社会というものが根底にありますから、民間企業のように「実力主義」を素直に取り入れられないんです。

 

仮にもし「完全な実力主義」を取り入れてしまえば、組織が回らなくなるかもしれません。

 

なぜなら、消防の実力って数字で出せるものではないですからね。経験値、活動スキル、判断能力…もう書ききれないくらい消防の実力って多種多様です。

 

確かにいますよ、スゴイ若手が。頭もキレるし、活動もそつなくこなす、失敗をうまくリカバリーもできる…稀にいます。

 

こういう若手は良い環境にいればもちろん伸びていきますし、実際に早くして組織の中枢に入っていきます。

 

けど、現実的にはこういう「財産」となるような人材を上手く活用できていません。

 

なぜなら若手の上げ足を取る「アンチ」が必ず台頭しますから。総じてそういう若手に対して「生意気だ」的な、人間リテラシーが驚くほど低い上司がいるもんです。

 

「アイツは仕事はできるけどまだまだ経験が足りないからダメだ」とか「ちょっとアイツ勘違いしてねえか?」とか…

 

こういう発言はすべて階級と在職年数と年齢が三つ巴となっているからなんです。

 

消防職員ってホント、つまらないプライドを持っているものです。

 

在職年数とか採用された時期とかによって、露骨に態度とか言葉遣いが違ったりしますからね。

 

たった1年違うだけで、扱いがこうも違うのかよ…って。

 

以下はボクの経験談です。

 

ボクは東京消防庁で3年働いてから田舎消防に転職しました。

 

転職先の田舎消防では4年目に突入することになりますので、それなりの扱いはしてくれるのかな…って思っていたのですが…ナンノ、ナンノ…

 

組織が違うとやっぱり下っ端からやり直しなんですよ。

 

っで、田舎消防に転職してから気が付いたのですが、たまたま高校の後輩がいましてね。彼の消防歴は4年目。消防歴で言えばボクと同じ。

 

職場で久しぶりの再開を果たした時は「あ、先輩、お久しぶりです!東京消防庁に行っておられたんですってね!また色々教えて下さいよ〜」なんて言いつつ、それ以降は何かとマウント取ってくるわけです…

 

「消防歴は同じでもここでは俺の方が上だぜ」的な感じです。

 

ボクとしては、元高校の後輩だし、年齢も下だし、消防歴はボクと一緒だし…何か解せない感じ…

 

実はこういう現象が、田舎消防ではあっちこっちの職員の身に起こるわけです。特にボクよりも上の世代、今の50代くらいの人に多かったような。

 

彼らが消防に入った時代って、大卒で働くのと高卒で働くのが半々みたいな感じです。今のようにすべての人が大学に行くという時代ではありませんでした。

 

景気もそんなに悪くなかったので、高卒でも公務員、特に消防なんて簡単に入れたわけです。そんな人たちはいわゆる「たたき上げ」的な消防人生を18歳から歩むので、わりと早い段階で消防カラーに染まります。なんというか、濃くて消防くさい人間にです。

 

っで彼らが消防を4、5年経験したタイミングで、それまで地方の大学に行っていた高校時代の同級生が入ってくるというわけです。

 

田舎の消防特有ですね…この「同級生が消防の先輩」「同級生が消防の後輩」というパターン。狭い地域ですのでどうしてもこういうことが起こります。

 

消防カラーに染まってしまった同級生が先輩となり、後輩として迎え入れるわけです。

 

民間企業でもこういう事があるかもしれませんが、まあホントにこの手の「先輩、後輩の逆転現象」が田舎消防では多かったです。

 

田舎消防の人間関係は出来レースな昇任試験でドロドロになる

 

 

田舎の消防に限らず概ねどこの消防本部にも「昇任試験」があります。(ないところもあるのかな?)いわゆる階級を上げる試験ですね。

 

ちなみに昇任試験の内容は、筆記試験、実科試験、口頭試験。まあ、学歴や在職年数などの基準をクリアしていれば、だれでも受験することができる制度です。

 

昇任試験制度は各市町村条例の中の「消防職員昇任試験規定」や「消防職員昇任試験規則」などで定められていますので、クリアなものでなければなりません。

 

しかし、実際は「勤務評定」という名の、所属長による加点があります。つまり、どれだけ昇任試験の成績が良くても、所属長の「一押し」があれば昇任できるというあいまいな制度です。

 

たとえば、試験の最終選考で2人の受験者の点数が同点の場合、所属長の加点のさじ加減一つでどちらが合格できるかが決まる「出来レース」的なものです。

 

形式的には絶対評価としておきながら、実質は相対評価となっているのが現状です。

 

実際ボクも昇任試験には苦しんだ時期がありまして、どうしても合格できない年が数年間続きました。理由は分かっていました。ボクは組織内でパワハラを訴えたことがあったので、それが尾を引いていました。

 

当時、外部の弁護士に相談したことがあるのですが、様々な組織では非公式でブラックリストが作られ、人事をつかさどる部署で管理されているとのことでした。もちろん、地方公務員も例外ではなく「組織に刃向かったモノ」としてチェックが入るようです。

 

このことについては、また別の記事で詳しくお話ししようと思いますが、その弁護士の見解的には、企業をはじめとする組織でブラックリストを作ることは当たり前で(ブラックリストというか、引き継ぎ書のようなものが存在するとのことです。)、組織の運営を円滑に行うためには必要なものとのことでした。

 

なので、ボクのように「問題」を起こせば組織内では、間違いなくマークされてしまい、いくら筆記試験や面接で良い得点だったとしても所属長や消防長の判断一つでどうにでもなってしまうわけです。

 

とりわけボクのように「問題」を起こさなくても、そもそも消防の昇任試験ってリアルに相対評価ですのでわりと絶望させられます。

 

田舎防の人間関係と職場環境をよくする改善策【中堅が頑張る!】

 

消防の人間関係と職場環境の改善には、間違いなく30代、40代の中堅職員がカギを握っています。

 

以下のツイートを見て頂きたいと思います。

 

 

上記はボクがフォローさせて頂いている、wavy@消防士/わたでゅ @surfcodoさんの記事をリツイートさせて頂いたものです。

 

すべては、wavy@消防士/わたでゅさんのこの記事、消防の未来は結局30,40代の人が鍵を握っているから年功序列くそですに凝縮されているので是非読んで頂きたいです。

 

要約しますと、消防の世界では払拭できない「年功序列」を逆にうまく利用しつつ、職場環境の改善や人間関係をより良くするために、組織運営そのものに30代と40代の中堅職員を加えればどうだろう、ってやつです。(wavy@消防士/わたでゅさん、こんな感じでしょうか?)

 

今の30代後半から40代前半の人って、いわゆる「オールドスクールな消防」と「ニュースクールな消防」の両方を知っている世代です。

 

つまり、「先人の風習を崩さないような組織運営に躍起になっている幹部」と、「組織の不可解さや、歪んだ人間関係に疑問を持っている若手職員」の両方の気持ちを理解できる職員がいる貴重な世代なんです。

 

この中堅職員が、現場の意見を可能な限り吸い上げて、組織運営に加わることができれば、少しづつ変わっていくことができるはずなんです。

 

たとえば、「意見発表会で本当の意見を言えないのなら辞めちまおうぜ」っていう若手の意見に対して「いやいや、たとえば意見発表歴を昇任試験の採点項目に追加したら、ちょっとはモチベ上がるんじゃないか?」っていう中堅がいるかもしれませんし、

 

「田舎の消防の音楽隊なんて子供だましで税金の無駄遣いでしょ?」って言う若手がいれば、「レベルアップのために、採用試験時に音楽関係の経験者をピックアップできるような仕組みを作ればどうかな?」って考えている中堅がいるかもしれません。

 

消防ってなんだかんだ言って、「組織人間」対「現場人間」、「ベテラン」対「若手」のような、立場の違うもの同士の人間関係がバトってしまいます。

 

ベテラン職員のエゴだけを振りかざしても、若手職員の要望だけをブン回しても、うまくいきませんからね。

 

このあたりは、ぜひ30代40代の中堅職員に頑張っていただき、消防の人間関係や職場環境が良くなるような組織運営を担って行って欲しいと思います。

 

田舎の消防署の人間関係がぶっちゃけメンドイ!のまとめ

 

田舎消防の人間関係ぶっちゃけメンドイです。理由は概ね以下のとおりです。

 

  • 田舎消防の人間は「小姑化」するから
  • 田舎消防の人間関係は昭和染みた「馴れ合い」関係だから
  • 田舎消防の人間関係は階級と在職年数と年齢の三つ巴パターン
  • 田舎消防の人間関係は昇任試験という名の「出来レース」でドロドロになるから

 

消防って本当にドロドロ、ギトギトした人間関係です。

 

けど、この状態ってやっぱり、「害」しか生み出しません。人によっては、「古き良き消防時代」なんて言いますが、はっきり言って良いところなんてひとつもありませんからね。

 

なので、この消防特有の人間関係と職場環境を改善していくために、ぜひ中堅職員に頑張っていただきたい。

 

オジサマ消防職員たちを逆上させることなく、能力のある若手職員をうまく組織運営に加わらせて欲しいと思います。

 

そうすれば必ず消防組織は良くなりますよ。

 

今回は以上となります。