【閲覧注意】元消防士が田舎消防の実態をディスります【幹部の方々へ】

ネットには載っていない田舎の消防士の勤務状況や消防署の実態を教えて欲しいです。

 

今回はこういった悩みにお答えします。

 

 この記事の想定読者

 

ネットには載っていない田舎の消防士の勤務状況や消防署の実態を知りたい方

 

想定している読者は、上記のとおりです。

 

 この記事の信頼性

 

ボクは、東京消防庁で3年、田舎消防で14年働きました。

なので消防士の実態についてはそこそこ詳しくお話しできると思います。

 

この記事では、 ネットには載っていない田舎の消防士の勤務状況や消防署の実態をぶっちゃけつつディスります。

 

ちなみにこの記事の内容は、ボク自身が「某田舎消防で勤務した14年間」にフォーカスした経験論でして、あくまでもすべての消防組織がそうではない、ということを先にお断りさせていただきます。

 

 

 先に結論

 

田舎消防の実態を市民に知ってもらわないと、いつまで経っても組織は変われない!

 

では始めますね。

 

田舎の消防士の実態1:現場に来るのはスペシャリストではない現実

 

一般市民の方にとっては、何を言っているの?って言われるかもですが、語弊を恐れずに言うのなら、現場活動する消防職員はその道のスペシャリストではないってことです。

 

田舎の消防士は、運転が下手くそでも消防車の運転手になれる、という実態

 

東京消防庁ではご存知のとおり、ほぼすべてのセクションに「専科研修」が設けられています。

 

単純に消防車を運用するだけでも「ポンプ機関技術研修」を修了しないといけないわけです。

 

だけど中核市レベル以下の田舎消防にそのような研修制度はありません。田舎の消防では、在職年数を重ねれば、ほぼ自動的に「機関員等級」っていう、いわば「切符」が発行されるわけです。

 

たとえば、消防署の敷地内で三角コーンを立てて走行訓練という暇つぶしをすることはありますが、計画性はなく、はっきり言って上司の気まぐれです。

 

運転技術や機関運用レベルに関係なく、在職年数で消防車の運転手が決まるという、実にあいまいな体制です。機関員のレベルアップは、「現場で経験をつんでナンボ」っていう、田舎消防得意の危険なOJTってやつです。

 

そもそも現場すらないのに、どうやって経験を積むんだって…レベルです。

 

田舎消防の「特別〇〇隊」は決して特別ではない、という恐ろしい実態

 

田舎消防の特別救助隊や、特別消火中隊も例外ではありません。特別な研修を受けた隊員がなるのではなく、「辞令書」という紙切れ一枚で決まる世界です。

 

3月まで予防係員だった人が、4月に突然「オレンジ」を着て救助工作車乗ることもあるわけです。

 

特別な資器材も持たないのに、4月から違う色のヘルメットを被って「特別消火中隊員」となってしまう人もいるわけです。

 

テレビ東京の番組「緊急車両24時」とかでやっている、いわゆる特別な訓練は積んでいません。中には、都道府県単位で行われる「救助専科」「警防専科」という研修に行く隊員もいますが、すべての隊員がそうではありません。

 

ざっくり言うと、「服装がただ違うだけ」レベルです。

 

けど、市民からすれば「オレンジ」や「特消」が現場に来たら「スペシャリストが来てくれた!」ってなるんでしょうが、そこには「スペシャリスト」と言うにはほど遠い現実…

 

田舎の消防での「特別〇〇隊」ほど、市民にとっても、組織にとってもマイナスなものはないのかな…って思いますね。

 

消防士の実態2:出動なんて実は膨大な事務処理の片手間

 

東京消防庁と田舎消防では事務処理の量が違いすぎる、という実態

 

東京消防庁で勤務していた時、ボクの所属は「〇〇消防署 総務課 管理係」でした。ポンプ隊員として現場出動するかたわら、主に職員の給与関係の事務に携わっていました。

 

確かに月末時期になると、集計に追われて夜遅くなることもありましたが、毎当番そんな状態ではありません。訓練する時間も、体力錬成する時間も、管内地水利調査する時間もありました。

 

もちろん、どこの消防組織でも、この手の事務処理があるわけですが、田舎の消防本部では、東京消防庁では各担当に振り分けられている事務処理を、たった一人でしなきゃならない、ってことです。

 

感覚的には、東京消防庁で各職員に当てがわれる事務処理量の10倍くらいの処理を一人でやっていました。

 

消防士のありえない実態のキモは、現場出動をする「兼任予防係員」の存在

 

田舎の消防組織では、「現場に出動しつつ予防業務をする」という恐ろしい体制となっています。

 

この「兼任予防係員」は、具体的には以下のような仕事をしています。というか、ボクが現職時代に予防係員として勤務していた際のルーティーンワークです。

 

  • 企業・学校・病院との立入検査、消防検査の日程調整 
  • 消防検査済証、立入検査結果通知書に係る事務処理 
  • 消防同意事務、着工届・設置届の審査事務 
  • 企業・学校・病院・自治会への訓練指導 
  • 自治会役員、民生委員との連携事務
  • 新設消火栓・防火水槽の検査
  • 火災原因調査書類作成

 

東京消防庁の「消防官募集ぱパンフレット」を見て頂ければ分かると思いますが、すべての部署に振り分けられていますよね。

 

これを田舎の消防ではすべてやっています、はっきり言って、スーパーマンレベルです。

 

確かに1年間の火災出動件数は100件程度でしたので、東京消防庁に比べれば少なかったものの、出動がある時はありますからね…そんな時はもう「火の車」です。

 

消火作業を終えれば、へとへとの身体で火災調査、消防署へ帰れば、ホース・資器材・消防車の洗浄をします。ここまではね、どこの消防でも同じです。

 

でも「兼任予防係員」にとってはその後が大変なんです。

 

立入検査や消防検査のアポを取っていた企業へのお詫びの電話、出動中に溜まった届け出書類、検査書類の処理、期限が迫った立入検査結果通知書の発送処理…

 

こんなのを一人でやるんです。だって誰もやってくれないから。

 

他の署員が「いやあ、疲れたな~」なんてリラックスしている傍ら、終わりなき事務処理や、お詫びの電話をしているわけです。

 

消防士の実態3:「兼任予防係員」以外の「ただの消防係員」が勝ち組となる布陣

 

前項の「兼任予防係員」以外ははっきり言って、ヒマです。だってそもそも事務処理の量がしれているから。

 

食堂と事務所の往復、組織批判や人のうわさ話、環境整備というなの時間潰し、コンプライアンス研修というやっつけ研修、思いついたような突然の訓練…

 

そんなことをダラダラとやって、「今日も一日忙しかったな~」なんて言っているわけです。

 

対して、「兼任予防係員」にとっては、いつ出動がかかるか分からないから「今のうちに事務処理…今のうちに企業に電話…」っていう、いわば24時間勤務のうちの1秒も無駄にしたくない状況。

 

「ただの消防係員」たちは、そんな「火の車」状態の兼任予防係員の真横で、スマホやテレビを見ているという図式。

 

そりゃラクですよ、出動して火災調査していたら良いだけなんですからね。

 

火災調査書類作成の担当に当たれば「あ~大変だ~」なんて言っている「ただの消防係員」がいますが、延べ面積100㎡くらいの一般住宅の全焼火災くらいなら、頑張れば1カ月くらいで余裕で書けますから。

 

まあ、こちらからすれば、「大げさな…それくらいやっとけよ…」って感じでした。

 

消防士の実態4:5台もの消防車をたった1人で運用する

 

田舎の消防では、職員数が条例定数を満たしていない組織なんてザラです。

 

なので人員不足が慢性化していて、たとえばポンプ車に3人、水槽付きポンプ車に3人、化学車に2人なんて乗り組みで出動せざるを得ない現実があります。

 

それに加えて、大型免許を持っている職員が少ない、というか足りていない…

 

なぜなら、大型免許取得はすべて自腹だから、そりゃあ取らなくなります。最近の若手で大型免許を取得している職員は本当に少なくなりました。まあ、しょうがないです、費用を出せない組織の問題でもありますから。

 

田舎消防では、「大型免許を持っている=すべての大型消防車の運用を任される」でして、それだけリスクを抱えることになるから、特に若手職員が嫌がるわけです。自腹で大型免許を取得したにもかかわらず、有難く頂けるのはリスクのみ…誰だって嫌でしょ。

 

数少ないながらも大型免許を持っている救世主的な機関員はいるのですが、指令内容によって「化学車を運用してくれ」、「はしご車を運用してくれ」、「水槽車を運用してくれ」…という状況です。

 

ただしそんな「救世主」は往々にして、前項でお話した「兼任予防係員」ってことがあります。膨大な事務処理と対外的な仕事に謀殺されて、訓練しているヒマもない…

 

そのくせ、「化学車」、「はしご車」、「水槽車」を運用しなければならない…まともに運用できるわけがありません、素人レベルですよホントに…

 

田舎の消防はこんな「綱渡り」をいつまでやって行くのか…って感じです。

 

消防士の実態5:「市民アピール」の意味をはき違えている

 

「市民アピール」、「市民目線」、「市民ファースト」と、田舎消防の消防長は何かにとりつかれたかのように言うわけです。まあ、市長や議員さんからのトップダウンなんでしょうが。

 

必要性のない特別〇〇隊の発足、救助指導会という名の運動会、数々の予防運動を捉えた非現実的な活動訓練、何を言っているのか分からない車両広報…

 

キリがありませんが、そんなので果たして市民アピールになっているのか?ってことです。

 

本当の市民アピールって、「当たり前のようにきちんとした現場活動をする」ことじゃないんでしょうか。

 

指令場所に、きちんとしたルートで到着して、水利部署、ホース延長、人命救助、放水…このあたりを、あくまでも「プロのレベル」で行うことが市民アピールです。

 

「特別〇〇隊」は本当に特別レベルでしょうか?

 

「救助指導会」いう名の運動会をしていて、果たして現場活動のスキルは上がるのでしょうか?

 

慢性人員不足に悩む消防本部に、「特別〇〇隊」は、さらなる人員不足を招く癌でしかありません。

 

「救助指導会」はレスキュー隊の格好をして行うただのスポーツです。

 

社寺の大火災で「水幕ホース」なんて使いません。

 

効果のない車両広報なんて騒音障害です。

 

現実問題、「現場活動に1㎜も響かないこと」をこのまま続けるのなら、消防のレベルを下げる一方です。というか、一般市民が現状の消防のレベルを知れば、きっと怒りますよ…

 

このあたりはいい加減、組織の幹部連中が気付かないと、いよいよ危ないですよ。議員の先生方にペコペコするのも仕事だから仕方ありませんが、成り行き任せの組織運営はもはや通じません。

 

きちんとした未来を描いてほしいものです。

 

消防士の実態6:救助指導会という運動会と、消防音楽隊という吹奏楽部

 

救助指導会という運動会に年間900万円の税金が投入されるという実態

 

前項でもお話ししましたが、救助指導会ってやつがあります。メディアで取り上げられる「レスキュー隊の大会」のことです。

 

ボクも現職時代、「障害突破」という種目で全国大会まで行きましたが、まあぶっちゃけ、現場で役に立たったことはありません。というか、ああいう動き、ないんですよ、現場活動で。

 

仮に救助指導会で競うレベルで現場活動をしてしまうと、間違いなく大事故が起こります。

 

で、この救助指導会の問題は、「現場で役立たない」ってことではなく、「莫大な税金が投入される」ってことです。

 

ボクが在籍していた消防本部では、勤務明けの非番日や週休日に訓練が行われていました。つまり、救助指導会に携わるすべての職員に「時間外勤務手当」が支払われていた、ということです。

 

1度計算したことがありますが、年間で900万円程支払われていましたね。

 

まあ、財政難の消防本部では、ほぼ無報酬でやっているところが多いと思いますが、ボクが在籍していた消防本部では不幸にも?時間外勤務手当が発生していました。今はどうなったか聞いていませんが。

 

つまり、現場に役立たない訓練に、年間900万円もの税金が投入されていたわけです。これって、あり得ない話です。

 

ボクの消防本部も実は財政難だったんですが、救助指導会だけは「事業仕分け」に見事に残りました。なので、お金がないのに続行されていたんです。

 

なので、ボロボロの消防車両はいつまで経っても更新されず、救急車なんか、余裕で30万㎞超え。はしご車は、モ〇タテクノスというのメーカーの定期点検で「使用不可」の結果が出ているのに運用する…結局ボクの退職間際には、そのはしご車は使用停止になりましたが、未だに修理の目途が立たないって聞いています。

 

もっと言うと、職員に貸与されるはずの執務服や長靴がとうとう支給されなくなり、ツギハギだらけの服や、穴が開いた長靴を使っている状況…

 

それなのに、救助指導会に時間外勤務手当が支払われているんです。

 

消防組織の現実をご存じない「先生方の鶴の一声」で、こういった結果を招くんです、ほんとにどうかしてますよ。

 

消防音楽隊という「吹奏楽部」にも税金が投入される

 

田舎消防の消防音楽隊って、もう悲惨なレベルです。いや、あくまで趣味の範囲でやっていたら問題ないんですよ。けどね、前項の救助指導会と同様、ここにも時間外勤務手当が発生しているんです。

 

月に5回程度の練習と定期演奏会で、まあそこそこの税金が使われていました。救助指導会と同じくらいでしょうか?

 

ただね、その税金を投入する価値があるレベルなのかというと、とんでもない。

 

喜んでくれるのは、幼稚園や保育園の幼い子供たちだけです。大人が聞いたら酷いもんです…子供だましですよ、はっきり言って。

 

音楽隊員になる理由なんですが、ほとんどの職員が「時間外勤務手当が欲しいから」なんです、信じられませんよね…

 

これも「先生方の事業仕分け」でめでたく残った仕事でしたので、どうしようもなかったんでしょうね。

 

消防士の実態7:「使えない」再任用職員

 

働き方改革で、再任用制度が数年前から採用されていまして、ほとんどの消防組織では「おじいちゃん消防隊員」が居座ることになりました。

 

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この人たち、もともと署長や次長クラスの幹部職員だったこともあり、まあ働かない…というか何もできない…

 

もちろん現場活動はしませんので、基本的には消防署での事務仕事や、消防本部付けでの仕事、通信指令センター勤務になります。

 

ただし、実際には届け出書類の受付処理もできない、指令もまともに出せない、という悲惨な状況。もともと幹部クラスの人たちだから、現職も気を使って注意することもできない。だから本人たちは堂々と職務放棄して草むしりして一日を終える…こんな大先輩がいるわけです。

 

よくそんな状況で職場に来ているよな、あんたたちも市民の税金をちゃかっりもらっているんだぜ…って呆れるレベルです。

 

それだけならまだマシです。

 

そんな使えない人達が条例定数に含まれてしまうので、現職の昇任ポストがなくなり、新人の採用人数も減少していくという負のループに陥っています。

 

ボクが在籍していた田舎の消防は今後どうなるのか、ホントに恐ろしい話です。

 

まとめ:消防士の実態を市民に知ってもらい、批判を受けまくらないと組織は変わらない!

 

再掲しますと、田舎消防の実態はざっと下記の感じです。

 

  • 田舎の災害現場に来るのはスペシャリストではない現実
  • 田舎の消防士は、運転が下手くそでも消防車の運転手になれる、という実態
  • 田舎消防の「特別〇〇隊」は決して特別ではない、という恐ろしい実態
  • 出動なんて実は膨大な事務処理の片手間
  • 「兼任予防係員」以外の「ただの消防係員」が勝ち組となる布陣
  • 5台もの消防車をたった1人で運用する
  • 「市民アピール」の意味をはき違えている
  • 救助指導会という運動会と、消防音楽隊という吹奏楽部
  • 「使えない」再任用職員

 

何も知らずに消防士になると、圧倒的に絶望させられます、はっきり言って。この現実が知れ渡ると、きっと某消防本部は大バッシングを受けるかもしれません。

 

しかしながら、バッシングを受けないと変われないです。ぶっちゃけ田舎の消防組織なんて、当該市町村の「先生方」が操っているようものですので、消防組織を変えようと思うのなら、そのあたりを突かないと無理です。

 

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ここまで、ボクの経験をもとにつらつらと書いてきましたが、もっと危機的な消防本部もあるのではないでしょうか?

 

消防組織の存在意義は消防組織法第一条に明記されているとおりです。

 

消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とする。

 

これを今一度理解しないといけません、幹部及び先生方は。

 

未来の消防組織を背負っていく隊員たちに、是非とも正しい道を示してください。

 

今回は以上となります。